は じ め に

この本は、たんに社会的成功をかちえた、ひとりの人間の伝記ではありません。
そのスケールの大きさ、その行動半径の大きさ、その心の大きさといった大ものの、いつわりのない人間像をあとづけたいとかんがえました。
私は今から数年まえ、早大総長にえらばれた大誤信泉先生の伝記を書きましたが、今回また下地玄信先生のソレを書くごえんにめぐまれました。
いまさら申すまでもなく、すぐれた人の伝記ほど人間形成に大きな影響をあたえるものはなく、そういう意味から、この本は特に青少年むけに執筆し、
大人でも年よりでも子どもでも誰でも気がるに読めるように、感動的な物語にいたしました。
読んでお分りのように、下地先生は幼少から決して人とちがった少年ではありませんでした。
しかし、いったんこうと心にきめたことは、どこまでもそれをやりとおす情熱と負けじ魂が、今日の下地をしたてたのです。
この本が沖縄はもちろん、ひろく多くのかたがたに愛読され、心のかてとなれば、さいわいです。

 
 
                                                    昭和48年8月

                                                                                                                                                         亀 川 正 東
 
 
 

目次
はじめに
いま西郷や一しゝ
玄信の生いたち
宮古のいなかっペー
努力によさる天才なし
上海、東亜同文書院へ入学
沖縄ってバカにするな
同文書院を一番で卒業
森俗に見こまれて
炭鉱の坑夫になれ
鉱山のあけくれ
軍隊から三井の正社員へ
百万円の大事業に失敗
公認会計士を夢みて
選挙違反でたいばされる
一流財界人の仲間へ
アジア協会支部長に
大政翼具合の理事へ
2 ・26事件その前夜
ドイツ遭難船を救助
博愛記念60周年祭
ドイツ政府から鉄十字章
松井大将とソ満国境へ
汪主席と二人で飲みあかす
大浜哲泉とかちくらべ
村山家の事件を見事に解決
はじめてのわが家
全国公認会計士協会をつくる
秀才急死の教訓
玄哲の人と石橋様
今田よヨーロッパ、明日はアメリカ
天皇陛下に拝謁
博愛碑の複製に私財を投ず
60代はハナたれ小僧
 沖縄県育英会にTL千万円を贈る
平良市名誉市民へ
下地玄俗につづけ
下地玄俗氏顕彰期成会
悠々自適の生活
感想の窓
下地玄信氏の歩み


                                           表紙題字 大浜信泉