は じ め に
この本は、たんに社会的成功をかちえた、ひとりの人間の伝記ではありません。 そのスケールの大きさ、その行動半径の大きさ、その心の大きさといった大ものの、いつわりのない人間像をあとづけたいとかんがえました。 私は今から数年まえ、早大総長にえらばれた大誤信泉先生の伝記を書きましたが、今回また下地玄信先生のソレを書くごえんにめぐまれました。 いまさら申すまでもなく、すぐれた人の伝記ほど人間形成に大きな影響をあたえるものはなく、そういう意味から、この本は特に青少年むけに執筆し、 大人でも年よりでも子どもでも誰でも気がるに読めるように、感動的な物語にいたしました。
読んでお分りのように、下地先生は幼少から決して人とちがった少年ではありませんでした。
しかし、いったんこうと心にきめたことは、どこまでもそれをやりとおす情熱と負けじ魂が、今日の下地をしたてたのです。
この本が沖縄はもちろん、ひろく多くのかたがたに愛読され、心のかてとなれば、さいわいです。 昭和48年8月
亀 川 正 東
表紙題字 大浜信泉
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